鈴木初音個展「点滅を掬う」

2023年4月14日(金)-30日(日)
1-7 pm

休廊日:月・火・水曜日
入場無料
オープニング・レセプション:4月14日(金)6-8pm
*オープニング・レセプションはどなたでもご参加いただけます。

鈴木初音個展「点滅を掬う」展示風景
鈴木初音個展「点滅を掬う」展示風景

下北沢アーツは、鈴木初音個展「点滅を掬う」を開催いたします。
鈴木初音は神奈川県生まれ、2023年現在、東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻油画研究領域壁画博士後期課程在籍中です。
鈴木は自身で菊芋を育て紙の原料を作り、稲作の過程で川底に溜まる砂や牡蠣の殻からモルタルや石灰など制作のための原料を集めます。川底でキラキラと輝く鉱物、紙に見える植物の茎、そして、ハンダゴテの力や熱の加減で変化する図像、鈴木の目は自然の一瞬の煌めきを見逃しません。自らを自然の中に置き、自然の反応に呼応しながら、長い年月をかけて制作された鈴木初音の作品には永遠に通じる刹那が閉じ込められています。
壁画分野から学んだ制作技法も取り入れた鈴木の絵画は、自然や目に見えない力への畏怖を伸びやかに描いた先史時代の洞窟画や緻密な日本の古墳壁画のように緊張感と大らかさを併せ持つ神秘的な魅力を湛えているのです。

鈴木初音《息にふれる》, 2023年, 楢木, 菊芋, 楮, 土, 刺繍糸, 130x160x15cm

アーティスト・ステイトメント

自然の世界を観察したり、触れようと試みる。
通り過ぎるものを見たり、流れを浴びるとき、
動き続けている全ては、
飜る裾のように、何かをチラリとのぞかせる。
点滅は緩やかに、ゆっくり、し続けている。

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私は、植物の栽培を取り巻く一連の行為から、
素材を手にし、それらを加工することで得られた材料を作品に利用しています。
小さな畑に植えた菊芋は紙に、海から来た貝殻は石灰になります。
石灰はその塩基性から、紙づくりでの煮熟や、
土壌のpH値調整に利用されます。
紙に絵を、
石灰と砂と土と水を練って絵を描いています。
紙は焦げることで図像が現れ、
石灰は二酸化炭素と反応し硬化することで絵を閉じ込めます。
様々な作用の間にある、見えない動きが表層の絵を支えています。

立ち現れてくる絵を見たいと手を動かし、
それが植物や貝殻の変身の果てに かたち になるとき、
その間にある作用は、私をも透過しているのだと感じます。
その時どきに、私は現れたり消えたりして、
とりまくもの の中にいることを思うのです。

鈴木初音《息にふれる》, 2023年, 楢木, 菊芋, 楮, 土, 刺繍糸, 130x160x15cm
鈴木初音個展「点滅を掬う」展示風景
鈴木初音《浸る-3》《浸る-2》, 2022年, 木, 川砂, 牡蠣殻石灰, 土, 顔料, セメント, 各53x53cm(S10)
鈴木初音《川の底へ》, 2022年, パネル, 川砂, 牡蠣殻石灰, 土, 顔料, セメント, 53x53x4cm(S10)
鈴木初音個展「点滅を掬う」展示風景
鈴木初音個展「点滅を掬う」展示風景

鈴木初音(すずきはつね)


作家としての今の目標は、「壁画分野から学んだ技法を取り入れて制作しているため、実際に建造物に付随する形での制作」だという。

神奈川県生まれ。
2018年 多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科 絵画専攻 壁画研究分野 修士課程 修了
2023年 東京藝術大学大学院美術研究科 美術専攻 油画研究領域 壁画 博士後期課程 在籍中

展示
2022年
「ao展」 (アキバタマビ、東京)
「奨学生美術展」 (佐藤美術館、東京)
2021年
「絵画の筑波賞展2021 」(スタジオ’S 、茨城& 西武池袋本店、東京)
2020年
東京ミズマチ 壁画制作(ワイズアウルホステルズRiver tokyo、東京)
個展「息をするとみえる」 (ギャラリー美の舎、東京)
2017年
「アタミアートウイーク2017~天つ風むすぶ熱~」 (静岡県熱海市内、空き家)

受賞
2022年
佐藤美術館 買上賞(東京)
2021年
絵画の筑波賞 優秀賞(茨城県、東京)

奨学金
2022年
日本文化藝術奨学生
2021年
第31期佐藤国際美術財団奨学生