佐谷由佳個展「浮島とコブ」

2024年2月28日(水) - 3月10日(日)
1-7 pm

休廊日:月・火曜日
入場無料
オープニング・レセプション:2月28日(水)3-7pm
*オープニング・レセプションはどなたでもご参加いただけます。

佐谷由佳個展「浮島とコブ」展示風景
佐谷由佳個展「浮島とコブ」展示風景
佐谷由佳個展「浮島とコブ」展示風景

下北沢アーツは、佐谷由佳個展「浮島とコブ」を開催いたします。佐谷由佳は2001年茨城県生まれ。2023年京都芸術大学油画コース卒業。卒業制作が優秀賞、島敦彦特別賞受賞。関東圏初展示、初の個展となる本展示では、佐谷が現在最も力を入れている陶器の新作を中心に、絵画、ドローイングなど佐谷の創作の現在地を発表します。


アーティスト・ステイトメント
 
私は幼い頃、今はない曽祖父の庭に出入りしていた。曽祖父は土をいじり、植物を育てていた。曽祖父の庭にはルールがあったが、小さな私にはその全容を理解することはできなかった。だが植物を世話する曽祖父と庭に憧れていた。

陶板や絵画がもつ縁の意識と庭の囲い。どちらも範囲が決まっており、その定められた範囲のなかにものを置き、並べる。それは庭を作るような意識であり、絵を描くのも同じ意識のように思っている。
記憶の中にしかない庭は少しずつ肥大化していき、変化していく。
可変的な庭の中に私は小さな花壇のような囲いを設ける。おそらくこれが絵画やレリーフでありながら、それらを組み合わせ一つの庭を作ってきたのかもしれない。
私の大きくない作品は大きな庭の部分であり、見えないヤードで繋がっていると思っている。

今回の展示では最近取り組んでいる立体を出している。立体は初め、庭の木を作ろうとしていた。ところが形がはっきりしていくにつれ、何か地続きでないような気がしてきた。今までの陶板だったりは、場所こそ違えどモチーフ(庭)は一緒だった。だが、木の立体は庭がある場所と同じ地面にないことに気づいた。
それが島のように思えた。

「浮島とコブ」は私がこれまで取り組んでいた庭のレリーフと、庭の地面から独立した立体についてのタイトルである。
さまざまな意識で庭について制作する中、私が最も強く意識する事の一つは地面についてだ。大きな力を持つ地は、私の中で尊敬の対象でありながらも畏怖の対象でもあるように思う。
私は曽祖父の土いじりを見ていたことと、庭という単位によってある程度地球と隔離された場所(大地)の中で土を扱っていた。それは制作だとレリーフ、つまり場所(陶板)が囲まれ、守られた状態で作っていた。
だが立体では庭やレリーフのように間接的ではなく直接物体が作られている。それは今までと大きく話が違う。土(陶土)が仮想地面を経由せず物になった。土を慎重に扱っていた私にとっては大きな変化だった。直接土からものが生まれるような。
私はなんとなくこのタイトルを思いついた時、地続きなコブと陸から離れた浮島の話だと考えていた。それは、地続きの庭と庭から自立した立体だと思った。
しかし地球に対してより直接自生できているのは立体の方なのかもしれない。地球から急に隔離された生態系を作っているのは庭の方かもしれない。
今回の展示では、自分の囲いと自立した立体によって地面からつくる話と地面と切り離された土地の話をする。

佐谷由佳《山並と水》2023年, キャンバスにアクリル絵具, 65.2x53cm(F15)
佐谷由佳《壺》2023年, キャンバスにアクリル絵具, 41x31cm(F6)
佐谷由佳《ヤシの木皿》2023年, セラミック,釉薬, 35x22x4cm
佐谷由佳《温室》2023年, セラミック,釉薬, 11x10x5.5cm
佐谷由佳《壺がなる丘》2024年, セラミック,釉薬, 7x8x4cm

佐谷由佳(さやゆうか)

2001年 茨城県生まれ
2023年 京都芸術大学卒業
京都芸術大学卒業展にて優秀賞、島敦彦特別賞を受賞

好きな作家:Rut Bryk
好きなアニメ:『楽しいムーミン一家 』

展示
2023年 「アールシー陶器市」RC HOTEL 京都八坂前敷地、京都
2022年 「春の新生活応援祭り」マンションみどり、大阪
2021年 「ワームホールでエキゾチック囲い」Alternative Space yuge、京都