小俣花名個展「My sweet home」

公募展入選多数、期待の若手作家小俣花名が創り出すエモーショナルな現代の墨絵。
墨一色で描かれる“カラフル”でウィットに富んだ生活の一場面。

2022年10月1日(土)-16日(日)
1-7 pm

休廊日 火・水・木曜日
*祝日も開廊。
入場無料
オープニング・レセプション:10月1日(土)5-7pm
*オープニング・レセプションはどなたでもご参加いただけます。

小俣花名《晩ご飯》, 2022年, 鳥の子一号・墨・パネル, 183×176cm(2パネル)

下北沢アーツは小俣花名個展「My sweet home」を開催いたします。

小俣花名は1997年東京都生まれ。2022年現在、武蔵野美術大学大学院 造形研究科博士後期課程造形芸術専攻に在学にしており、今は作品制作と共に「白描による風俗表現の歴史と現代」についての研究及び論文執筆にも挑戦しています。
日常の風景を日本画の技法で細密に表現したその作品は、FACE展を初め多くの公募展で入選するなど、将来を期待される画家の一人です。

高校生の頃から日本画専攻の小俣は岩絵具を用い制作を行ってきましたが、日本画の下書きである「骨描き」の作業の過程で和紙に墨のみで描く事を思い付きました。2019年頃からそのスタイルで描き始め、以前は1画面に1つだったモチーフがたくさん盛り込めるようになり、自分の世界観を少しずつ表現できるようになってきたと小俣は言います。

小俣は、家族、家にある物、食事、近所の風景など、暮らしの一場面をモチーフとして描いています。
本展での大作《晩ご飯》には、大きな画面からはみ出さんばかりに、小俣の日常を彩る人や物が細密に描かれています。家族、ペットのインコ、湯気の立ったおかず、棚から落ちそうな本、衣服、雑貨、一番奥の部屋には、、、。
鑑賞者は小俣が詰め込んだいくつもの小さな物語を発見できることでしょう。
その凄みさえ感じる細密な画面には、かつて新人漫画賞の最終選考に残ったこともある小俣による戯画的な誇張やデフォルメが随所に見られ、それにより作品の可笑しみやウィットが増幅されています。
どこか見覚えのあるごちゃごちゃとした日常は少しの哀愁を帯びながら、こんなにもふくよかでささやかな幸せに溢れている、小俣の作品からそんなメッセージを受け取ることができるのではないでしょうか。

大岩オスカール、不染鉄、高島野十郎、竹内栖鳳、ヴァロットン、カイユボットなどに影響を受け、大学院修士課程修了展で制作した5mの超大作のような大きい作品に再び挑戦したいという小俣花名、そのユニークな日本画から今後も目が離せません。
「よく見たらこれおかしいよ!と突っ込みながら面白がって自由に見てください。」という小俣の言葉のとおり、作品から聞こえてくるおしゃべりにツッコミを入れながら、小俣ワールドをぜひお楽しみください。

作家ステイトメント

博士課程で私は論文テーマ「白描による風俗表現の歴史と現代」について研究しています。多くの先人たちが墨による日常生活の表現を模索してきた歴史や作品に触れていくと、自分が墨で身の回りのモノを描くことは昔から色んな人が沢山挑戦してきた事なんだと感じる日々です。その成果が少しでもこの個展に活かされていたらと思います。
楽しんでいただけましたら幸いです。

小俣花名《お休みの日》,2022年, 鳥の子紙・墨・パネル、87x91cm
小俣花名《亀の産卵》,2022年, 吉祥麻紙・墨・パネル、45.5x38cm
小俣花名《いちご》, 2022年, 吉祥麻紙・墨・パネル, 18.2×25.7cm
小俣花名《化粧水瓶とアロサウルス》, 2019年, 高知麻紙・岩絵具・胡粉・水干絵具・墨・パネル, 22×27.3cm
小俣花名個展「My sweet home」展示風景
小俣花名個展「My sweet home」展示風景
小俣花名個展「My sweet home」展示風景

小俣花名(こまたかな)

1997年 東京都生まれ
2015年 都立総合芸術高等学校 美術科日本画専攻 卒業
2019年 武蔵野美術大学 造形学部日本画学科 卒業
2021年 武蔵野美術大学 造形研究科修士課程美術専攻 日本画コース 修了
2022年 武蔵野美術大学大学院 造形研究科博士後期課程造形芸術専攻第2学年在学中

個展
2021年 
「小俣花名個展」(コート・ギャラリー国立)

グループ展
2022年 
「絵画のゆくえ2022 FACE受賞作家展」(SOMPO美術館)
2021年
「第7回雪梁舎風の会展 フィレンツェ賞受賞作家展」(雪梁舎美術館)
「第6回宮本三郎デッサン大賞展ー明日の表現を拓くー」
(小松市立宮本三郎美術館、世田谷美術館 区民ギャラリーA・B)
「第30回奨学生美術展」(公益財団法人佐藤国際文化育英財団 佐藤美術館)
2020年 
「第22回雪梁舎フィレンツェ賞展」(雪梁舎美術館、東京都美術館)
武蔵野美術大学日本画学科有志展示「灼灼ーしゃくしゃくー」(コート・ギャラリー国立)
「FACE2020」(損保ジャパン日本興亜美術館)
2019年 
「奏ー日本画選抜展ー」(銀座スルガ台画廊)
「アートを遊ぶみんなの展覧会」(羽村市生涯学習センターゆとろぎ)
2018年 
江戸表具研究会・表枠会二十周年記念特別企画
「掛軸と絵画のミライ展~美大生×表具師による軸装の可能性~」(東京八重洲画廊)
「第41回三菱商事アート・ゲート・プログラム」(三菱商事ビル1階「MC FOREST」)
2016年 
「二十歳の輪郭」(中札内美術村 北の大地美術館)

受賞歴
2021年  
第6回宮本三郎記念デッサン大賞-明日の表現を拓く-特別賞「美しき未来にむけて」
第30回奨学生美術展 アワガミファクトリー賞、公益財団法人佐藤国際文化育英財団
2020年 
第22回雪梁舎フィレンツェ賞展 優秀賞
第46回三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選
FACE2020損保ジャパン日本興和美術賞 優秀賞
2018年 
第41回三菱商事アート・ゲート・プログラム 入選
2016年
中札内美術村企画公募展「二十歳の輪郭」最優秀賞
2013年 
ジャンプSQ第11回クラウン新人漫画賞 最終候補
別冊フレンド第509回BetsuFureマンガセミナーAコース

パブリックコレクション
六花亭製菓株式会社