鈴木玲美個展「エイトビート」
2023年6月9日(金)-25日(日)
1-7 pm
休廊日:月・火・水曜日
入場無料
オープニング・レセプション:6月9日(金)6-8pm
*オープニング・レセプションはどなたでもご参加いただけます。
下北沢アーツは、鈴木玲美の初個展「エイトビート」を開催いたします。
鈴木玲美は1999年静岡県生まれ。2022年東京造形大学造形学部美術学科絵画領域卒業、2023年東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域在籍中。2021年にはFACE2021では歴代最年少21歳で優秀賞を受賞しています。
FACE展で優秀賞を受賞した作品《夜は静かに眠りたい》を初めとする作品シリーズは、眠る前に人間関係のことで頭がいっぱいになり眠ることができない自分をモチーフに描いた作品群。絶妙な構図で配された横たわる人物(作家自身)と記号化された大きな人物達に○△□などシンプルな形も散りばめられ、作品全体が赤、青、黒など、少しくすんだカラフルな色彩によるモチーフで埋め尽くされていました。
鈴木は東京造形大学を卒業し、同大学院に入学した2022年から、その作風を変化させます。作品の要素を削ぎ落とし、限られたモチーフで、色や線をより重視した表現を始めました。その理由を、自分にとっての作品制作の意味を改めて考えたときに、最も表現したいことは今ここにいる大切さであり、それをよりシンプルに表現することを目指したと鈴木は言います。
画面を埋め尽くすような作風の後に移行した簡略化された表現は、こだわり抜いた背景の色彩に軽やかな線で描かれ、まるで未完成作品のようにも見えます。タイトルの数字が意味するものは作品が描かれた日付であり、河原温の日付絵画のコンセプトにも似ています。同じように見えながら変化し続ける日々、その時、その状態の自分を観察し、慈しむように絵画に興しています。
鈴木の作品を見ていると、大きな世界、大きな現実の前に日々寝て起きてを繰り返す小さい自分、その自分が目覚めようとするときに浮かんだ無意識と意識の間のような曖昧な感覚を覚えます。それは、これまで現実に会った人や実際に覚えた感情のみならず、私たちの共有意識の中で見た人や記憶なのかもしれません。ちっぽけだけれど全てにつながる自分、その全てに愛を、私たちは鈴木の絵画からシンプルで普遍的なメッセージを受け取ります。
アーティスト・ステートメント
「そこにあること」「そこにいること」。
1日の流れの中で、毎日当たり前のように起こっていることは全て同じではなく、さまざまな要素を受けながら僅かに変化し続けている。
常に同じ瞬間はないということを、人物や文字を繰り返し描くことで表現している。
主にモチーフを線で描いている。
私の「線」は人物を描くにしろ文字を書くにしろ鼓動、呼吸、思考、その日の状態によって変化し、その変化を画面に残している。
一定の鼓動を刻みつつも全て違う線を引き、ひとつひとつの線がその日の自分の身体の痕跡になる。
線を一本引くだけで内側と外側、境界線が生まれ、作品によって毎回違う空間を生み出している。
背景の色彩と線によって創られる絵画空間がその日の自分を物語る。
個展タイトル 『エイトビート』
描くモチーフは全く同じにはならないが、一定のリズムを刻む感覚で同じものを描き続けている。
同じリズムの鼓動や呼吸のように、常に同じだけど一つ一つのリズムを大事にしつつ生き、そんな思いで制作しているので、タイトルは「エイトビート」とつけた。
「エイトビート」は私の好きなバントの曲名で、ロックでよく使われるリズムだそう。
この曲に繰り返し訪れる日々を生きることの素晴らしさが込められており、私はこの曲から大きく影響されている。
鈴木玲美(すずき れみ)
1999年 静岡県生まれ
2022年 東京造形大学造形学部美術学科絵画領域 卒業
2023年 東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域 在籍中
グループ展
2023年
「ジャム」(KOGANEI ART SPOT シャトー2F/東京)
「なりきりのあとで」(府中市美術館市民ギャラリー/東京)
2022年
「偽名展」(武蔵野美術大学/東京)
「SKIN IS」(相模原市民ギャラリー/神奈川)
「FACE受賞作家展 絵画のゆくえ」(SOMPO美術館/東京)
2021年
「FACE展2021」(SOMPO美術館/東京)
受賞
2022年 東京造形大学卒業研究・卒業制作展 ZOKEI賞
2021年 FACE2021 優秀賞