片口南個展「子供部屋の情景」
2025年2月14日(金) - 3月2日(日)
1-7 pm
休廊日:月・火・水
入場無料
レセプション*:2月15日(土)5-7pm
* レセプションはどなたでもご参加いただけます。


下北沢アーツでは、片口南初個展「子供部屋の情景」を開催いたします。片口南は東京都生まれ、2024年女子美術大学美術学科洋画専攻を卒業しました。
昨年の女子美術大学卒業制作展に出展された片口南の《偶像》は多くの人の目に留まり、SNSでも拡散されました。変形パネルに一見写真かと見紛うほど写実的に描かれたぬいぐるみ、燭台、コップ、お皿や雑貨。一つ一つは可愛かったり綺麗だったり、特に珍しくもないものですが、磨き上げられたような凛とした存在感がありました。そして、画面全体から感じる静かな迫力と緊張感が印象的でした。
片口は自らが幼い頃から蒐集し大切にしてきた物を丁寧に並べ描きます。片口が蒐集品に対して抱く愛情が片口の眼差し、一筆一筆に注ぎ込まれています。鑑賞者はその静かな情熱、美意識を片口の作品から感じ取るのだと思います。そして、鑑賞者自身が大切にしてきた物、その物に対する気持ちや思い出がふと蘇るのではないでしょうか。
片口南の生き様が込められた小さな作品達から、片口のそしてご覧になる方自身の「子供部屋」をぜひ訪ねてみてください。
【個展に際して】
タイトルは、シューマンのピアノ独奏曲「子供の情景(kinderszenen)」から拝借した。モチーフ組みも絵画制作も、子供部屋である自室で行っている。モチーフのほとんどは子供の頃-年齢によって限定的に定義されず、より広く感覚的な定義-に蒐めたもので、今も変わらずとても大切で、自分の魂が不変であることを教えてくれる。大人はどこへでも行けるけれど、子供だった自分に会いにいくことは難しい。月がどこまでもついてくることに疑問を持ち、砂浜の石が輝いて見え、お城のようなかわいい部屋に住むことを夢見た少年少女の部屋の情景を、大人のわたしたちに贈りたい。架空の人物の名を冠した作品の中で、お互い巡り会うだろう。




片口 南(かたぐち みなみ)
東京都出身
2020年 東京都立上野高等学校卒業
2024年 女子美術大学美術学科洋画専攻卒業
好きな作家:ヴィルヘルム・ハンマースホイ、フランシスコ・デ・スルバラン、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、ヨハネス・フェルメール
中村明日美子、三原ミツカズ、長野まゆみ、森茉莉
展示
2024年
「The party」下北沢アーツ、東京
「薔薇と星」haco -art brewing gallery-、東京
「背徳 みだれる少年2024」SUNABAギャラリー、大阪
2023年
「Skew position」アートスペース木村ASK、東京
「第11回前田寛治大賞展」東京、鳥取
「背徳 みだれる少年2023」SUNABAギャラリー、大阪
2022年
「さかさまの世界Ⅱ」SUNABAギャラリー、大阪
2021年
「Hello 2021 summer新人歓迎」SUNABAギャラリー、大阪
受賞
2024年女子美術大学美術館奨励賞、加藤成之記念賞受賞
アーティスト・ステートメント
今までに蒐集したアンティークや雑貨を丁寧に並べ、その姿を描いている。個人的な信仰心を宿すそれは、静物画というより寧ろ宗教画に近い。日常の中で愛する物を見つけること、大切にすること、美しい物を諦めないこと、そういった思いから、自分にとっての祭壇-神棚や仏壇、御守りのような-を作っている。静物を、単なる寓意やメタファーにとどまらせたくないという思想から、独自の絵画形態となるよう宗教的精神性を追求している。