後藤瑞穂個展「アボカドを拾う、本を持つ」

2024年10月9日(水) - 20日(日)
1-7 pm

休廊日:10/15(火)、10/16(水)
入場無料
レセプション:10月12日(土)5-7pm
*レセプションはどなたでもご参加いただけます。

*本展覧会は、売上の一部をパレスチナ人道危機救援活動へ寄付する予定です。

後藤瑞穂《Something close》2024年、キャンバスに油彩、22×27.3cm(F3)

アーティスト・ステイトメント

本展示のタイトル、「アボカドを拾う、本を持つ」は2023年11月1日に在米ユダヤ人でパレスチナの政治経済学者であるサラ・ロイが発表した文章から着想を得た。それは《Can you see the avocado?: A letter to President Biden》という文章の“地面に横たわる死体とその近くに散らばるアボカド。「アボカドが見えますか?」と彼は尋ねた。私には見える。バイデン大統領、あなたは見えますか?” の最後の一文である。これは雑誌「ロンドン・レビュー・ブックス」に発表され、バイデン大統領への書簡形式で書かれた。

これまで私はナチス・ドイツによる東欧への侵略・⽀配の歴史を主な題材にしてきた。戦争や病、大きな暴力を前にしたとき、人はどういった行動をとるのか、言葉を発するのか、という問いをずっと持っていたからだ。ホロコーストについて私は当事者ではないが、以前から歴史的な出来事が身体と深く結びついていく、ということが気になっていた。

私は昔から足が遅く、肺活量がなかった。肺疾患があると分かったのは大学生になってからだが、自覚症状もなかった。2年前に自転車で坂道を登ったとき、あまりの苦しさにはじめて自分が病気であることを自覚した。その頃を境に、肺の線維化が進み二度と階段は登れないと思っていたが、今年の1月に両肺の移植手術を受けることができた。

私がパレスチナに連帯をするのは、息ができない苦しみや、鉛のように重くて動けない身体の記憶があるからだ。ホロコーストに興味を持ったのは中学生のときで自分の病気のことは全く知らなかった。ただどんなに頑張っても、速くありたいと思っても誰よりも遅くなってしまう、どうしようもない身体であったことが私がホロコーストに惹かれた大きな理由のひとつだと思う。

私のモチーフである日常的な果物や道具、人間の仕草は一見巨大な暴力とは無関係に思えるが、実際は性や身体が差別や戦争、暴力に強く影響される。そのことを作品として取り上げ、さまざまな大きな出来事に対して、そのひとつひとつの個別性と向き合いながら作品をつくっていきたい。

後藤瑞穂《tilted bucket》2024年、キャンバスに油彩、22×27.3cm(F3)
後藤瑞穂《lines》2024年、キャンバスに油彩、22.7x15.8cm(SM)
後藤瑞穂《cut out series  地下道には誰もいない》2024年、紙、水彩、14.8x21cm(A5)


後藤 瑞穂(ごとう みずほ)
2001年 東京都生まれ
2023年 女子美術大学芸術学部美術学科洋画専攻卒業
現在、女子美術大学大学院美術研究科博士前期課程美術専攻洋画研究領域在籍(休学中)

好きな作家:
バルテュス、フェリックス・ヴァロットン、ヴィルヘルム・サスナル、リュック・タイマンス

展示

2024年
グループ展「 Prologue XV 2024」GALLERY ART POINT、東京
グループ展「Snapshot」ARTDYNE、東京
グループ展「パレスチナ あたたかい家」NAMNAM SPACE、神奈川
グループ展「Group Show」日本橋三越コンテンポラリーギャラリー、東京
2023年
IDEMITSU Art Award展 2023、国立新美術館、東京
グループ展「Coil展」art space kimura ASK?P、東京
神奈川県美術展、神奈川県民ホール、神奈川
グループ展「swim to.....」ハーモニーホール座間、神奈川
グループ展「EPIC PAINTERS VOL.12」THE blank GALLERY、東京
2人展「遠い記憶に、ふたしかな横顔をとらえて」 AYUMI GALLERY、東京
第46回東京五美術大学連合卒業・修了制作展、国立新美術館、東京
2022年
神奈川県美術展、神奈川県民ホール、神奈川

受賞

2023年
IDEMITSU Art Award 2023 学生特別賞
第58回神奈川県美術展 神山財団賞
2022年
第57回神奈川県美術展 入選