藤原彩芽個展「足元から故郷へ」
2024年7月19日(金) - 8月4日(日)
1-7 pm
休廊日:月・火・水
入場無料
レセプション:7月20日(土)5-7pm
*レセプションはどなたでもご参加いただけます。
下北沢アーツでは、藤原彩芽個展「足元から故郷へ」を開催いたします。藤原彩芽は2001年宮城県生まれ。2024年武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻卒業、現在同大学大学院油絵コースに在籍しています。CAF2022保坂健二朗審査員賞受賞、muni Art Award 2023グランプリ、土方明司賞受賞など公募展の入選も続く注目の若手作家です。
その作品の魅力は、自作の変形パネル画面一杯に展開されるデフォルメされ自由奔放に動く人、木やキャラクター、古典技法も取り入れた鮮やかな色遣い、そして作品全体から発せられるエネルギーです。一見明るい作品はよく見ると、切れた体、燃える人、争う人など不穏なモチーフも多数存在します。でも作品全体としては、やはりポジティブなエネルギーを感じます。
それは、村田沙耶香、今村夏子を初めとする多くの小説などの読書体験や日常生活で感じる心の機微を見逃さない繊細な感性とネガティブな要素も受け止めようとする藤原の生きる姿勢そのものから現れるのでしょう。自分にとって大切な物事をきちんと大切に扱おうとする藤原の作品にはある種の清々しさも漂います。柔かく強い精神から生み出された可愛くて不思議でエモーショナルな藤原彩芽の絵画世界をぜひご高覧ください。
アーティスト・ステイトメント
他人の存在や苦しみを消す、見ない、比べるといった種類の暴力に遭遇する度、今目の前に広がる世界に私の存在や苦痛を消されないようにしたいという願いと、私自身が誰かの大切な何かを消しているという事実が色濃くなっていきます。
個展タイトル「足元から故郷へ」の「故郷」は単に生まれ育った地点のことではなくて、私を迎え入れる誰かがいた場所という意味で使っています。また「場所」は、人と人が交わる地点に初めて発生するような、時間が流れていて、変化していく空間のことだと考えています。これは運命とも言い換えられます。
私は大切な場所が無い、または失われたと思うことが頻繁にあります。一応テレパシーが地球のルール上は非推奨なのは私も知っていますが、寝る前にその時関心ある人物へ向かって様々なテレパシーを送ることは多々あって、応答がなくて泣き、自分にも冷たくされて泣いて夜が更けていきます。
また、私の気持ちを声に出して相手の反応を伺う活動もしているんですが、その相手が自分の自尊心のために私の輪郭を空気に溶かしながら小刻みに揺れ始めたりなんかしたらもうこの世の終わりだと思って逃げてその辺をフラフラ歩くはめになります。でも泣きながら歩く道にピーマンが落ちていることがあって、こういうのは、よくわからないことがこの世界に起こることのなによりの証明だと思います。
私が私と誰かを比べてしまう理由は人間を数字で数えることの延長線上にありそうです。私が世界からの暴力に怯えている以上は誰かを追い詰めるようなことはできる限りしたくありません。過去の私や対話相手としての私と絶交することも避けたいです。そのために、今ある絶望を安易に捨てずにしっかり持った上で、ずっと先にあり続ける偶然性由来の希望に期待して、自分との対話を続けたいと思います。故郷になり得る記憶が目の前に広がっていくうちに、過去は今と断絶した地点ではなくて、私と共にあるということが未来に進む勇気として思い出されます。
藤原彩芽(ふじわらあやめ)
2001年 宮城県生まれ
2024年 武蔵野美術大学大学院油絵コース入学 現在第一学年在籍中
好きな作家:マルク・シャガール、奈良美智、ピート・モンドリアン、ヴァルダ・カイバーノ、サーニャ・カンタロフスキー、中園孔二など
展示
2024年
グループ展「wonderland」下北沢アーツ、東京
2023年
グループ展「muni Art Award 2023展」ぎゃらりい秋華洞、東京
グループ展「第10回記念未来展」日動画廊、東京
グループ展「Raising Piggy with ketchup」Room_412、東京2022年
2022年
グループ展「CAF賞2022入選作品展」代官山ヒルサイドフォーラム、東京
受賞
2024年 2023年度武蔵野美術大学卒業制作 優秀賞
2023年 muni Art Award グランプリ、土方明司賞受賞
2022年 CAF賞2022入選、保坂健二朗審査員賞受賞
奨学金
2024年 武蔵野美術大学根岸奨学生
2023年 武蔵野美術大学校友会奨学生